PROLOGUE

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 雨が世界を包み込んでいた。  雷雲は重く町にのし掛かり、止めどなく雨を降らせ続けている。  しかし、男たちは誰一人として動こうとしなかった。  彼らが見つめる先には一人の少年。髪を灰色に染め上げ、赤いメッシュを入れている。  目付きは異様に鋭く、男たちに対し敵意を剥き出しにしている。  男たちより高い位置にいる、オレンジの髪をゴーグルで留めている男が口を開く。 「……ったく。一人でのこのこ来やがるからどんな奴かと思えば………はっっ!まだガキじゃねえか!?」  ヒャハハと笑う男たち。 「悪いことは言わねえ。巣に帰ってボスに伝えな。怖くて一歩も動けませんでした!……ってよぉ!」  ウヒャヒャと下品な笑い声が響き渡る。 「………ってらんねぇ…」 「あ?何か言ったか?」  少年は顔を上げ、犬歯を剥き出しにする。 「やってらんねぇんだよ!いいからとっとと終わらせようぜ!」 「……いい度胸してんじゃねえか…」  ゴーグル男は男たちに向けて叫ぶ。 「てめぇら!丁重にもてなしてやれ!!」  その言葉を合図に男たちが少年に向けて一斉に飛び掛かる!
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