PROLOGUE

3/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 真上から降り下ろされる拳をバックステップで避ける少年。  そのまま右手を軸に身体を回転させ、ブレイクダンスの要領で男達を薙ぎ払う。  そして少年はひるんだ男に向けて爪先を蹴り上げる。顎に強烈な一撃を喰らった男はそのまま白目をむいて地面に倒れ込む。  間髪入れず、太った体格の男の腹に爪先を突き刺す。そのまま力を入れると、全身をビクンと震わし、男は倒れた。  少年の足先からは、微かに光るものが。 「チッ!おめえら何やってんだ!?力を使え力をよぉ!」  ゴーグル男の怒号が響き渡る。と、男たちの身体を赤いオーラが包み込み、拳の先に掌大の炎。  雨の中Tシャツ姿の男がそのまま拳を握り締めると、何と手は炎に包まれてしまった。しかし熱さは一切感じていないようだ。 「ムンっ!」  掛け声と共に突き出される腕をすんでの所で避ける少年。炎がかすり髪が少し焦げたようだ。  別の男がそのまま掌を少年に向ける。彼の炎は少年に向けて一直線に飛んでいった。少年は慌てずに炎を蹴り落とす。  と、背の高い男が彼を後ろから抱え上げる。右脇腹に焼けるような痛み。  苦痛に顔を歪めながらも少年は、男の顔面に踵をめり込ませる。  勢いで一回転した少年は、彼をいたぶろうとしていた丸刈りの男の脳天に踵を降り下ろす。  地面に降り立ち、辺りを素早く見回す。まだ相当数の人間が残っているようだ。 (面倒だ、一気に片付ける……!)
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!