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宿は中年の夫婦が経営していた。
部屋は五つしかなく、その上大して広くはない。
持ち合わせのあまりなかった二人は部屋を一つだけ借り、仮眠をとることにした。
二時間ほど眠っただろうか、部屋の外で小さな足音がした。
テラは目を覚まし、ドアを開けると、ノックしようとしていた女がいた。
「あの、お食事の用意ができましたので、お知らせに来ました」
「ああ、どうも。すぐいきます」
「かしこまりました。では、お待ちしております」
女はお辞儀をして戻って行った。
テラはエリスを起こし、食堂へ向かった。
食堂にはあの夫婦しかいなかった。
どうやら客はエリス達だけらしい。
二人は席に着き、早速を食事を口にした。
「失礼ですが、お客様は何故この街に来られたのですか?」
少しして、夫の方が聞いてきた。
「いえ、ちょっと用がありまして」
テラが食べながら答えた。
「用と言いますと?見たところ、商売をされる方には見えませんが」
夫は不思議そうに食いついてきた。
「…魔王の下僕(サタンサーヴァント)を潰しにいくのよ」
手を止め、エリスは静かに言った。
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