第1章

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宿は中年の夫婦が経営していた。 部屋は五つしかなく、その上大して広くはない。 持ち合わせのあまりなかった二人は部屋を一つだけ借り、仮眠をとることにした。 二時間ほど眠っただろうか、部屋の外で小さな足音がした。 テラは目を覚まし、ドアを開けると、ノックしようとしていた女がいた。 「あの、お食事の用意ができましたので、お知らせに来ました」 「ああ、どうも。すぐいきます」 「かしこまりました。では、お待ちしております」 女はお辞儀をして戻って行った。 テラはエリスを起こし、食堂へ向かった。 食堂にはあの夫婦しかいなかった。 どうやら客はエリス達だけらしい。 二人は席に着き、早速を食事を口にした。 「失礼ですが、お客様は何故この街に来られたのですか?」 少しして、夫の方が聞いてきた。 「いえ、ちょっと用がありまして」 テラが食べながら答えた。 「用と言いますと?見たところ、商売をされる方には見えませんが」 夫は不思議そうに食いついてきた。 「…魔王の下僕(サタンサーヴァント)を潰しにいくのよ」 手を止め、エリスは静かに言った。
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