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「芽瑠、どうゆうことじゃ?」
「本、なくした」
「な、なくしたって、お前……」
それはつまり、相手の正体が分からないってことか?
「どこでなくしたのかな?」
「……分からない。気付いたら、なくなってた」
そりゃ、分かってたら苦労しないだろうよ。
「とりあえず、ざっと見て、この教室にはないようじゃが」
「他の部屋に行ったか?」
「どこにも行ってない。この部屋だけ」
「それなのに、どこにもないと。困ったな」
「湊はこの場面に、心当たりはないのかの?」
「そんなこと言われてもなぁ」
夕方の学校なんて、いくつも考えたベタな設定だからな。いろいろあり過ぎて、逆に分からないな。
「とりあえず、一度家に帰らないかな?」
「そうじゃな。ここで一夜を明かすのも、なんじゃし」
「仕方ない。明日また来るか」
「だな。オレもう腹減って大変なことになりそうだ」
こうして俺たちは、帰ることにした。
「しかし、本当に分からないのか?」
「あぁ、さっぱりだ」
「頼りねぇな」
「お前にだけは、言われたくねぇよ」
「ワシらから見れば、どっちも頼りないがの」
「「うるせぇよ」」
「相変わらず、完璧なシンクロじゃの」
「「嬉しくねぇ」」
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