12.

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「苓、ちょ……話し…ある。す……し、聞いて……れ」 匠のワンコ発動。 「悪いけど、苓は俺を理事長室に案内してくれてる途中なんだ。あっ、そうだ。お前もついて来るか?」 ………名前知られちゃってる。 愛りんも匠も普通に呼ぶから……、改名しようかなぁ。 匠はまりもに視線すら向けず、ずっと僕を見ている。 僕は匠に名前を呼ばれてから、ドキドキと大きく音をたてはじめた心臓の音を気にしながら、まるで棒みたいに突っ立ったまま、匠から目を反らせないでいる。 匠、ちょっと窶れちゃってるよ。 何故、そんな悲しそうな顔をしてるの? 切なそうな顔しないでよ。 僕の方が悲しくて、切ないんだよ。 今ここにいるのは辛いんだよ? 「匠!」 聞きたくない声がした。 やっぱり邪魔されるんだねっていうか、一緒にいたんだね。 呼び捨てするほどの仲になったんだ………。 晃君は全く悪くないけど、それはわかっているんだけど、やっぱり晃君に普通に接するのは難しいや。 .
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