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「苓、ちょ……話し…ある。す……し、聞いて……れ」
匠のワンコ発動。
「悪いけど、苓は俺を理事長室に案内してくれてる途中なんだ。あっ、そうだ。お前もついて来るか?」
………名前知られちゃってる。
愛りんも匠も普通に呼ぶから……、改名しようかなぁ。
匠はまりもに視線すら向けず、ずっと僕を見ている。
僕は匠に名前を呼ばれてから、ドキドキと大きく音をたてはじめた心臓の音を気にしながら、まるで棒みたいに突っ立ったまま、匠から目を反らせないでいる。
匠、ちょっと窶れちゃってるよ。
何故、そんな悲しそうな顔をしてるの?
切なそうな顔しないでよ。
僕の方が悲しくて、切ないんだよ。
今ここにいるのは辛いんだよ?
「匠!」
聞きたくない声がした。
やっぱり邪魔されるんだねっていうか、一緒にいたんだね。
呼び捨てするほどの仲になったんだ………。
晃君は全く悪くないけど、それはわかっているんだけど、やっぱり晃君に普通に接するのは難しいや。
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