思い出してやらない！

１.

ねぇ、紘一、

僕の事好きだった？

ちゃんと愛してくれてた？

ねぇ、

いつの間に

そんなに遠くに行っちゃったの？

自分で決めたくせに、

出て行きたくないって思う自分がいるんだ。

ごめんね。

もっと早く消えればよかったね。

僕が紘一から離れたくなくて、

紘一にしがみついて、

きっと困らせてたんだ。

もっと僕が大人だったら、

早く紘一を解放してあげれたのに。

付き合った期間は長いけど、

一緒に住んだ期間は、思いの外短くて……

ごめんね。

もう、疲れちゃった。

自分で決めたから、

頑張って出て行くよ。

捨てられるのが怖くて、

捨てられる前に消えるね。

大好きだった。

本当に好きだったんだ。

だから、賭けに負けた僕は、

その思いも連れて、

綺麗に紘一の人生から去るね。

バイバイ、

大好きな人

僕は扉を閉め、振り返らずに歩きだした。