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~第2の砦 犬たちの沈黙~
愛華りんの迫力にビビっているまりもを無視して、ちょっと愛ちゃんに合図をしてから、僕はまた歩き出した。
「まっ、待てよ! 俺を置いて行くなよ! 俺達友達だろ?」
いいえ! 一秒たりとも友達だった事ありません!
騒音は聞こえない事にして、どんどん歩いていく。
坂を下る時には思わなかったんだけど、上っていると結構正門って遠かったんだなって思う。
なかなか校舎に着かないんだもん。
とにかく早くまりもと別れたいのに………、あれっ、まりもって名前なんだったかなぁ。
うーん、全く思い出せないけど………まぁ、いっか。
「苓!」
突然名前を呼ばれ、びくっと足を止めた。
聞きたかったけど、聞きたくなかった声、途端に胸が痛みだす。
匠が細い横道から駆け寄ってきた。
「苓………」
あの日からずっと避けてきたから、声を聞くのも、こんなに近くにいるのも久しぶりだ。
「話しが「なぁ、お前名前は? 俺は山際 棗、棗って呼んでくれ」………」
僕と匠の間にぐいっと入って来て、強引に自己紹介をしている。
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