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軽く苓の肩を揺する。
う~んと小さく反応をするが、全く起きる気配がない。
「咲は怖いし……、放っといて帰りましょうか? って、愛華先輩、はやっ!」
調度扉を開けた所で、
「チャラ男、行きま~す!」
と宣言して出て行った。
「二人の時間は邪魔しちゃダメよ。匠くんも自分のハニーの元に帰っちゃいなさい。あらっ? 今はダーリン? よく変わるからわからなくなっちゃったわ」
「……ノンケです…」
からかわれてるのが分かってるのに、ついつい反論してしまう自分に呆れつつ、念を押す。
「生徒会では貴重なノーマルですから!」
「あらっ? 苓ちゃん&咲ちゃんもノーマルかもよぉ」
「さっきと言ってる事違いません?」
「こんなに長い間一緒なのに、いつまでも敬語なのが可愛いのよねぇ。食べちゃいたい! どう?」
「全力で断ります」
「もう、ほんと真面目くんなんだから。生徒会役員なんだから、適当に遊んで、全校生徒を楽しませてあげなきゃ。それも私たちの仕事なのよ?」
妙に色気のある仕草で、匠を見上げる。
幼稚舎からいる匠には、生徒会の色恋沙汰が、男しかいないこの学園の娯楽みたいになっているのは知っている。
話題を提供するのも必要な事だと分かっているから、
「明日からは王道転校生に懐くので、大丈夫でしょ?」
と言った。
累はちょっと残念そうな顔をしたが、メモに何かを書くと机に置いた。
「まあねぇ。……もう私や愛ちゃんはダメだけどぉ、匠ちゃんはまだ諦めなくていいと思うけど?」
累の視線が苓を見る。
パァッと匠の顔が赤くなる。
可愛いいーって言いながら、累は匠の腕をとって、
「まだ決まってないみたいだしー、私は匠ちゃんを応援するわぁ。さぁ、明日に向けて、体力付けなきゃ。たまには一緒に食堂行きましょう?」
強引に引っ張って行った。
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