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朝から暑い。
7月、夏真っ盛りだから暑いのは仕方ないか…。
少し緊張した僕、朝比奈苓(アサヒナ レイ)は、朝から部屋の掃除を頑張っている。
恋人大仰紘一(オオキ コウイチ)をいつものように送りだしたあと、止まる事なく動いている。
「おはよう。ご飯は?」
「いらねぇ…」
「眠そうだね。今日は遅くなる?」
「…さぁ」
ほとんど毎日同じ会話、一日で交わす言葉はこれで終わり。
振り返るわけでもなく、紘一は僕の知らない世界へと出掛けていった。
恋人って感じじゃないなぁ。
とっくに気付いていた事、今日が最後と決めたから、冷静に今の自分を見れた気がする。
僕の誕生日って事、覚えてるかなぁ。
不安が過ぎる。
でも、決意は変えない。
自分を守るためでもあるから………。
クローゼットからボストンバッグを取り出し、最悪の時を考えて、必要なものを詰めていく。
本当はこんな事したくない。
でも……、
冷ややかに整理していく自分がいる。
気持ちは賭けに勝ちたい。
頭は負けると判断している。
「帰ってくるよね…?」
核心がない自分が、諦めろと呟く。
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