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ブレットの一言に男は心外だと言わんばかりに目を見開き、まるでマシンガンを撃っているような口調で声を荒げた。
「君は何を言っている?!
相手は悪魔なのだぞ!??!
何が人一人だ、相手は悪魔だ!
殺されて同然の存在を殺すのに、他の理由があるかっ!」
「………黙って聞いておけば、身勝手な理由じゃねーか。」
ブレットの一言に男は黙った。
「んなのは、自分の地位を守りたいから邪魔な奴を殺せと言っているようなもんだな…話にならねぇ、俺以外の他に当たれ。」
ソファーから立ち上がり、去ろうとするブレットに男はその場を取りなすように…そして、縋りつくように口を開く。
「な、ならば報酬金額を倍にしよう!
それならば文句はあるまい!
それでも、やってくれないか?」
ブレットは重い溜め息をして、渋々と言った感じに了承の意を込めて頷いた。
頷いたブレットを見て男は途端に安堵したかのように、顔を綻ばさせて会話を続けた。
「妻は決まって夜中の二時を過ぎると、家から出てフラフラと街に行く。
その時にお願いしたい。」
「場所はどこでも良いんだな?」
「あぁ、構わない。
一刻も早くなんとかしたいのだ…。
我が妻がまさか悪魔だったとは知りもせず…今まで放っておいてしまったのは私の責任でもあるしな。」
ブレットは要件は聞いたので、立ち去ろうと立ち上がる。
「帰るのかね?」
「………仕事は必ずやる。
その後にでもまた来る、報酬を貰う為にな。」
ブレットはそう言って、立ち去った。
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