epilogue

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人ひとり救えない癖に何が空手有段者だ 走っている最中にも聞こえる悲鳴、泣き声、小さな子供が母を求める声。 俺はその度に足を止め、しかし再び駆け出す。スネ夫もびっくりのヘタレっぷりに思わず乾いた笑いが零れた。 『…オナホルト!?』 漸く家に辿り着くとそこには血を流した父ちゃんと母ちゃん、二人を庇うように立ち剣を構えるババ…オナホルト。 そして手に赤々と燃える炎を浮かべる黒尽くめで、黒い翼を持つ魔物。 竦む足を叱咤し何とか両親の元へ駆け寄るとオナホルトがこっちを向いた 「…ニア!?駄目、早く逃げなさい!」 『何言ってんだ、おまえら残して逃げられるかよ!』 「お父様もお母様ももう助からない!私の老体ももう保たない、貴方だけでも助かってほしいの!」 父ちゃん母ちゃんの出血が致死量を遥かに越えてる事ぐらい、それでもいつか義両親になる二人を守り戦う老美女があの魔物に敵う訳がないって事ぐらい わかってるんだ 「桃色の少年、お前がニアか」 不意に黒い魔物が口を開いた、何故俺を知っている? 『好きで桃色の格好してねーし』 「そうか、そんな事どうでもいい。お前には死んで貰う。と言うかお前の命だけが目的なんでな。正直そこいらにいる餓鬼やその婆が死のうが焼けようが興味ない」 …は? こいつ今、なんつった
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