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「ああ、だ」
「大丈夫だよ、杞憂だし」
「あっ、そっかきーくんだもんね!」
ボクの前に螺憂が答えて、シルフィーは納得してしまった。
だったらきくなよ最初から。
そりゃ、平気だけどさ。
「………一応保健室いったら?」
つぶやいてから、螺憂もシルフィーとおなじく画鋲を拾いはじめた。
ボクは、自分で言うのもなんだが、わりとどこにでもいる普遍的な高校生だと思う。
そりゃちょっとオッドアイで、双子で、厄介事に巻き込まれやすい体質ではあるけれど。
だから痛いものは痛いし、悲しいときは悲しいし辛いときは辛い。
だって人間だもの。
「素直に痛いっていったらどうかね?」
「じゃあ、痛いです」
「素直でよろしい」
保健室の主である槞架先生は、眼鏡の奥で、ニッコリと笑った。
ボクの頭を先程から何回か、消毒液を含んだ脱脂綿で叩いている槞架先生は、名前からも伺えるように女性である。
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