プロローグはいつだって突然に

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「そういえば今日さ、夢を見たんだよ」  帰り道、唐突に恋夜が語りだした。 「僕たちはその世界で沢山のことをしてさ、最終的には戦争まで止めたんだ」  僕たち……? 「恋夜も見たのか?」 「霧斗も?」  もしかしたら、あの世界の出来事は夢なんかじゃなかったのかもしれない。だが、今となってはそれを知る術はない。 「んでも、恋夜は主人公体質だし、異世界に飛ばされたりしても驚かないわ」 「またそんなこと言う……。いつだって人生の主人公は自分なんだから、そんなこと言わない!」 「いや、事実だし。ほら、言ったそばから恋夜の足元に魔法陣……が……。じゃあな、恋夜っ!」 「逃がすかぁっ!」  一瞬の出来事だった。  足元の魔法陣に気付いた俺は、恋夜に向かってにこやかに手を振るとダッシュで距離を取った。……否、取ったはずだったんだ。  だが、恋夜は俺を逃がすまいと手を伸ばし、俺の手をがっちりと掴んだ。 「いやいや、おかしいでしょ!? なんで俺を巻き込むの!?」 「え? だってこういうの好きでしょ? 確かこういうのって、勇者召喚とか、使い魔召喚とか言うんだよね?」 「確かに好きだけど! 自分が体験するのは嫌だああぁぁぁ……」  こうして、為す術もなく俺の意識はブラックアウトしたのだった。
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