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「ふっ……」
止まった涙はまた落ちる。春子は希望を全て絶たれてしまった気分だった。
すると男の子はさして驚きもせず、スマートな動きでハンカチを差し出してきた。
「そんなに泣かないで下さい。牧野春子さん。」
ハンカチを受け取ろうとしていた春子の肩が、ビクリと跳ねる。
驚きのあまり、春子の涙は止まってしまっていた。
「……っ!?」
(……誰?)
どうみても、17・18歳くらいにしか見えない青年。彼は、とても端正な顔立ちをしており、一度会ったら忘れないだろう。
それでも春子の記憶の中に、彼の姿は存在しない。
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