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この屋上はコの字形になっていて、扉を開けると左右にスペースが広がっている。
その右のスペースにはプランターがいくつか置いてあり、さらにその横に、このプラスチックの白い簡易ベンチがひとつあった。
私の背丈くらいのフェンスに囲まれたこの屋上は、それほど広くはないけれど、少し離れたところに駅ビルが見えるくらいで周りに高い建物はなく、結構な開放感だ。
今まで他人と出くわしたことはなかったけれど。
「ふーん」
男は興味があるのかないのかわからない表情で私から視線を外し、前を見た。
学校帰りの夕方五時。
十月の少しだけ冷たさを帯びた風が私の髪を揺らし、水色とオレンジ色でグラデーションになっている空が、彼の横顔に色をつけている。
無造作に分けられた長めの前髪に、ちょっとだけ襟足の伸びたうしろ髪。
ラフなグレーのパーカーの中には、これまたラフな白Tシャツ、下は着古した感じのジーンズ。
顔は……。
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