1 屋上のウソツキさん

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「ハハッ、威嚇して毛が逆立ったネコみたい」   ウソツキさんは、頭がボサボサになった私を指さし、ケタケタと笑った。 私より何歳上なのか知らないけれど、こんなに大人げない人いるんだ。 怒りもたしかにあるけれど、彼の予期せぬ行動と子どもっぽさに呆気にとられてしまう。 「帰ります。今日の話は内緒に……」 「ふ。誰に話せっての? 他人なのに」 「…………」 “他人”……。   その言葉を聞いて、少し親しみを感じはじめていた心の前に、一気に壁を作られたような気がした。   もう、いい。 もう帰ろう。 「じゃ、さようなら」   私はそう言ってその場をあとにした。 うしろで「また来てねー」と声が聞こえた。  
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