3 落とした傘、借りた傘

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「雨でグラウンド使えなくて、どうせ体育館だから、今日はサボることにした」   ニッと笑ってピースをする大橋くん。 全然悪びれずに小学生みたいな顔をした彼に、一瞬心臓が跳ねた。   私が、同級生の男の子と並んで帰る日が来るなんて……。   一緒に歩きながら、緊張とちょっとした高揚感でドキドキする。   周りからどういうふうに見られているんだろうか。 付き合ってるみたいに見えるのかな?  というか、男友達と一緒に帰るって、普通によくあること?    パシャパシャと小さく水を跳ねて歩きながら、私はなかなか顔を横に向けられなかった。 べつに相合傘をしているわけじゃないのに、意識してしまう。 「二丁目だったよね、種田さんの家。俺、五丁目だから、あのT字路のところまで一緒だね」 「あ、うん」   グルグル考えていると、ふいに大橋くんが聞いてきた。
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