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次の日学校の喫煙室。
もう常連である国見と志摩が並んで煙草を吸っている。
「あ、」
「ん?」
国見の言葉に、新たな煙草に火をつけながら志摩は返事を返す。
「すごく大変だってさ」
「何が?」
「大学。90分の授業は、ツライって」
「あ、片桐か。来たのか」
顔がニヤニヤしないように、細心の注意を払いながら国見の顔を見る。
国見も無表情を装っているが、明らかに昨日と纏っている雰囲気が違う。
「ああ、まぁ」
「そうか、よかったな!」
志摩は嬉しくなり、国見の背中をバシバシたたく。
「なにが良かっただよ。夜中まで愚痴に付き合わされたぞ」
「はは。そうか、そうか」
そんなこと言って、嬉しかったくせに!と内心思う志摩。
「……」
国見は照れているのか、そっぽを向いてしまった。
気づけばもう6月になる。
そしてすぐに夏。今年も暑くなるんだろうか?
国見はぷかあと空に向かって煙を吐き出した。
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