Number 1

8/34
前へ
/143ページ
次へ
「もう…!ほんと意味わっかんない!どうして侑磨と同じところ怪我しちゃうわけ!?」 階段を登りながらちゆが文句を言っている。 「はぁ!?そんなのこっちの台詞だよ!大体お前がちゃんと前見てたらこんなことにはならなかっただろ!?」 「な、何よ、あたしのせいなの!!?」 「はいはい、落ち着いて…」 二人がヒートアップしてきたところを大悟が間に入る。 あれからすぐに3人は保健室へと向かった。 その間にも二人が痴話喧嘩を繰り広げていたのは言うまでもない。 そして養護教諭に治療をしてもらい、侑磨とちゆの二人はおでこの真ん中におそろいのガーゼが付けられている。 今はその事がテーマとなっているようだ。 (全く…。侑磨も侑磨だけど、ちゆもちゆだよな。本当に侑磨関係になると周りが見えなくなるというか…) 大悟はそんなことを考えながら廊下を歩く。 そして、階段のすぐ近くにある『2年C組』と書いた扉の前で立ち止まり、ドアノブに手をかける。 やや古い引き戸を引くと、ガラガラという何かが軋むような音が聞こえ、クラス中の視線が先頭の大悟に集まる。 「おいおい、遅刻だぞ」 それに気づいた世界史の先生が黒板から向きを変え、3人に注意をする。 「遅れてすいません。後ろの二人が新入生殺しにぶつかってしまって…」 そんなことを言いながら大悟が振り返る。 「はんっ、大体そんなに俺とのお揃いが嫌ならさっさと取ればいいだろ!?」 「な、なぁっ!!?そ、それは…」 何の罪もないのに素直に謝っている大悟を鮮やかにスルーし、侑磨とちゆの二人は相変わらずの言い合いを続けている。 (ふむ、今日もちゆの劣勢か) 言い合いをしている二人を黙ったまま見た大悟が思う。 「全くお前らはまたいつものか…!!剣はともかく、そこの二人はまだ続けたいなら入ってくるな!」
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加