Number 1

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そして、あっという間に授業は終わり、昼休みになった。 購買で買ってきたパンを持った大悟と侑磨はいつも通りにちゆが机を移動させて作った三人席に着く。 「なぁ、お前って本当に侑撫さんと双子なのか?」 パリッと買ってきたパンの袋を開けながら大悟だ聞く。 「もが?」 すでにパンを食べていた侑磨が飲み込まないまま返事をする。 ほっぺたにパンを詰め込んでいるようで、その姿はまるでハムスターだ。 そんな様子に、ちゆが頬を赤く染めて目を奪われているのは言うまでもない。 「よし、とりあえず口の中の物を飲み込め。話はそのあとだ」 「もが」 そう言って数回咀嚼したあと、大悟に言われるがまま食べ物をゴクンと飲み込む侑磨。 こういうところがたまに可愛いよな、と大悟は思う。 「うーん…どうなんだろうな」 机に肘をついて頬杖をつき、侑磨が複雑な表情を浮かべる。 「何を言ってるのよ。どう見たって顔が一緒じゃない」 大悟と侑磨とは違い、手作りの弁当を食べているちゆが間に割って入ってくる。 あのタコさんウィンナーは手作りなのだろうか?と侑磨は頬杖をつきながら考える。 「うん、まぁそうなんだけど…。自分で言うのもなんか嫌だけど、やっぱり出来が違いすぎるというか…」 「「確かに…」」 「……」 (少しくらい否定してくれてもいいんじゃあ…?まぁ、自分でもそう思ってるぐらいだからいいけどさ…) 同じタイミングで同じことを言う大悟とちゆを見て、侑磨は泣いてしまいそうになる。 「なんていうか…俺達と同じ歳とは思えないぐらいに落ち着いてるよな」 そう言って大悟が視線を移す。 その先には教室の真ん中辺りで弁当を食べている侑撫がいる。 そして侑撫の周りにはクラスでも中心の女子たちがわいわいと楽しそうに話しをしながらご飯を食べている。
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