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現在午前二時。 枕元に置いてあるデジタル時計のボタンを押し、ディスプレイだけが明るくなった時計を内海侑磨が確認する。 (明日学校なのに全く寝れない…) 電気をつけようと手を伸ばすが、暗さに完全に慣れている目の事を考えて思いとどまる。 (ここで電気をつけると余計眠れなくなりそうだな…) そんなことを考えながら暗い自分の部屋の中を見渡す。 テレビ台のすぐ近くに、大悟から借りたアニメが山積みになっているのが目に入る。 (これでも見るか…) 電気をつけないまま起き上がり、山積みになっているDVDの近くへと向かう。 (確かこれは昨日見たから…次はこれだな) 適当なDVDを手に取り、プレーヤーとテレビの電源を入れる。 「うっ…」 テレビの光が想像異常に眩しく、数分前自分が気にしていたことが馬鹿らしく思えてくる。 ボタンを押すとプレーヤーから受け皿のようなものが出てくる。 そこにディスクを入れ、再びボタンを押すとウィーンという機械音とともにディスクがプレーヤーの中に吸い込まれていった。 リモコンを手に取り、再びベッドの上に寝転がりチャンネルを変える。 借りたDVDは北欧神話を題材にしたバトルものだった。 (こんなかっこいい剣だとか鎧だとか、実際にこの現実にあったらどうなるんだろう) そんな普通の人とは論点がずれたことを内海侑磨は考える。 テレビの中では、主人公が敵の大群に囲まれている。 (…こんな生活は嫌だな。俺は…平凡で良いんだ) そんなことを考えていると、自然と瞼が重くなってくる。 (俺は…今の生活に満足している…) 内海侑磨の意識が静かな夜へと吸い込まれていく。 アニメの中では主人公が剣を取り出し、取り囲む敵の中をボスめがけて走っていた。
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