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少し恥ずかしいひとり言を言っていたところで急に声をかけられ、侑磨の体がビクッと大きく動く。
「ど、どうした?」
そんな侑磨を心配そうに見ているのは、昔からの侑磨の幼馴染である剣大悟(つるぎ だいご)だ。
身長は180センチをゆうに超え、髪は真っ黒なショートヘア。
そして侑撫と同じように才色兼備で文武両道。
『モテる男子と言えば大悟』他校にまで言われている。
カッターの第二ボタンまでだらしなく開けている侑磨とは正反対に、第一ボタンまでしっかりととめている。
だが、そんな大悟にも変わったところがある。
それは、野球部でもないのになぜか常にバットを専用の袋に入れてたすき掛けにしていることだ。
(だいぶ前に聞いたけど、結局理由を教えてくれなかったんだよな…)
「おい、侑磨?」
「あ、いや…。なんでもない」
「なんでもないようには見えないんだが…?」
そう言って大悟が侑磨の顔を覗き込む。
その動きに合わせてバットが自転車に当たったのだろう。
ゴトン、と重い音が後ろから聞こえる。
「なんでもないって」
それからあわてて逃げるように顔を反らす。
「そうか。ならいいんだ。まぁ何かあったら相談してくれ」
「あぁ…。サンキュー」
そう言って侑磨が前を向いている大悟の横顔を見る。
(こいつって昔からそうだよな…。侑撫とはまた違う感じで、俺の保護者っていうか…)
「ん?俺の顔に何かついてるか?」
「あ、いや、何もついてない」
「…やっぱりお前今日おかしいぞ?」
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