とあるレンタルビデオ店の話。

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ここはどこにでもある、普通のレンタルビデオ店。 呪いのDVDも無ければ、魔法の世界に行けるDVDも無い。 大きくも無いが小さくも無い。 今まで目立ったクレーマーも居ない。 …今までは。 レジから見える旅DVDコーナーに居る二人の客。 20代後半の女性と10代後半の男性。 一般的に考えれば、恋人が旅行の計画を立てにDVDを探しに来た、だけの事だろう。 だが、暇を持て余して彼らを観察しはじめて20分くらい経過しただろうか。 それが、当てはまる2人では無い事に気づいた。 女はやや酔っぱらている様だった。話し声が段々と大きくなってきている所から考えても、まず間違いないだろう。 対する男はと言えば、殆ど言葉を発しない。 たまに、 「それは、無理です。」 と、ややウンザリした様な感じで女に返す。 ここ迄来ると、結末を見届けたい。 客がこない事を祈りながら、店員の男は2人に近づいて行った。
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