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空-イマムカシ-
茫洋たる空
青く、蒼く
冴え冴えと
細く
儚く
散り散りに
風に切り裂かれた
真綿の雲が
ゆるりと流れる
ただ在るだけの空
ゆらゆらと消える雲
我が身を吹き抜ける風
見つめるだけで
感じるだけで
清々しく
清々しく
自らが、
いかに矮小であるかを
気持ちの良い程に
痛感する
嗚呼、
この空のもと
逝きたかった、と
願うのは
贅沢か?
傲慢か?
瞼を持ち上げる
然(サ)すれば
不完全な闇が去り行き
途端、光が瞳を刺す
空に張り巡らされた
漆黒の蜘蛛の巣
威圧と圧迫を与え
空を侵蝕せんとする
灰色の大樹
そして、
重い鈍色に覆われた空
どろり
風が流るる
どろり、どろり、と
空気が動く
息をするたび、
喉が詰まる
澱が溜まる
あぁ、
帰りたい
返りたい
あの頃に還りたい
今を生きても
感じるは苦痛のみ
昔にかえれないならば
誰か、
誰か、
私に
安楽の死をくれないか?
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