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青白いワイシャツ(おそらく、日光の元で見れば真っ白だろう)の胸のあたりが上下しているところを見ると、どうやら眠っているだけらしい。
…光彦は、男の僕から見てもキレイな顔をしている。
そのキレイな寝顔に見とれそうになりつつも、僕は、光彦を起こすことにした。
左手を、光彦の体に伸ばしかけた時、気づいた。
…後部座席にも、誰かがいるという事に。
薄い闇の中、目をこらすと、その人影も見知った人物だという事がすぐにわかった。
…僕の叔父さん、村岡(むらおか)さんだ。
どうやら村岡さんも、いつもの着古したよれよれのスーツ姿のまま、シートにもたれかかって眠っているみたいだった。
その姿を見て、気づいた事がひとつあった。
村岡さんの前座席……光彦のシートが完全に倒されているにも関わらず、安岡さんの前の空間には、足を投げ出すだけのスペースがあるという事に。
だからというかなんというか、村岡さんは、上半身を後部座席のシートにあずけたまま、両足をそのスペースに投げ出していた。
つまり、今自分が乗っている車は、前部座席と後部座席の間のスペースが、かなり広めに作られているらしい。
…そして僕はもちろん、こんな車には、全然見覚えがない…。
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