45人が本棚に入れています
本棚に追加
暗がりと沈黙の中、織波が言葉を続ける。
「ねえ、この文章の意味…わかる?」
僕と光彦のどちらともなく、問う織波。
僕は口を開く。
「うーん、わかんない…。
特に、“あの時のように”…っていう部分が…。
でも…」
そこまで言いかけた僕の言葉を光彦が引き継ぐ。
「“車は動かない”、“ドアは開かない”っていうのは、もしかして、オレ達の今の状況なんじゃあ…」
光彦の縁起でもない言葉に、思わず顔を見合わせる、僕達3人。
そんなはずはない…。
そんなはずはない…とは思うが、先ずは確認しておいた方が安心だろう。
僕達はそれぞれ、自分達が接している側のドアを確認することにした。
助手席からすぐにガチャガチャという音が聞こえ始める。
「あ、あれっ?
開かない…。
ロックでもかかってるのか…?」
その光彦の声と同時に、同じ方向から、今度はカチッ、カチッという、ボタンを何度も押すような音が聞こえてくる。
同じタイミングで、僕の後ろの座席からも、ガチャガチャ!ガチャガチャガチャ!という、少し乱雑な音と共に、
「だめ…!
こっちも開かないわ…!」
という、少し焦りの混じった声も聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!