恋のかけひき

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有難いことにテレビに出して頂けるようになって忙しい毎日を送っている最中、急遽収録が延期になってぽっかりと1日スケジュールが空いた。 コンビでの仕事だったから空いたのは又吉も同じで、せっかくだからネタ合わせでもしようかと誘ったのは俺から。 夕方6時。 せっかくのオフだしゆっくりしたいから、と又吉が提案した待ち合わせの時間。それには俺も賛成して指定された時間に待ち合わせ場所のカフェに来た。 現在6時24分。 一向に又吉は現れず連絡もなし。うん、どういうこと? ぼけーっとアイスティーのストローを噛む。俺何か寂しくない? オシャレな恵比寿のカフェは女の子のグループやカップルで溢れていて何だかちょっと浮いている。 あー、いつものファミレスにすれば良かったかなあ、なんて。 うぃん、うぃん。 テーブルの上の携帯が震える。 相方の名前とメール受信の文字が浮かぶ。 ごめん、寝過ごした。あとちょっとで着く、だって。 又吉らしいな。でも後でちゃんとお仕置きしなくちゃな。 午後6時32分。 自動ドアの側に又吉発見。 カフェオレもってキョロキョロしてる。 あ、目ぇ合った。 早歩きでこっちに向かって来る。 「遅なってごめん。」 「30分以上経ってるけど。」 「……ごめん、」 本当は別に怒ってないけど怒ってるようなふりをする。 だって俺を探してる又吉や見つけて急いで近寄ってくる又吉、今みたいにしゅんとしている又吉は滅多に見れないから。 すぐに許しちゃうのも勿体ない気がして。 「ほんま、すまん」 「もーネタ合わせする気分じゃなくなったわ」 「え…」 「ネタ合わせする気分じゃなくなったから、それ飲んだら俺んちな。」 「は?」 「寝過ごしたのは?」 「俺、やけど…」 「じゃ、決定。」 にっこり笑ってやると納得のいかなそうな又吉の顔。 遅刻したのはそっちなんだからしょうがないよね。 色んな可愛い又吉見れちゃって俺もう我慢できないし。 「綾部…変なこと考えてるやろ。」 「そりゃあもう。どんなお仕置きしようかなーってね。」 「……」 そのとき又吉は、もう絶対遅刻せんとこ、と誓ったとか。誓ってないとか。 勿論俺は知るよしもない。 end
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