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『何やそっちもかい。』
「そっちも?」
『今ウチに又吉来てんねん』
「又吉が?」
ぴくり、と綾部の眉が動いたのが見えた。
又吉、の言葉に反応したんやろ。あんなに怒っとったのに。
ちょっとからかったろかな。
「綾部、又吉のことめーっちゃ怒っとったで。頑固すぎる!言うてな。もう付き合いきれんって」
そこまで言ってませんよ!と綾部が必死な顔で言う。
あせってる綾部の顔がめっちゃおもろくてもう少し見たくなった。
『そうなん?なんか又吉はえらく落ち込んどったけどただの痴話喧嘩ちゃうの?』
「痴話喧嘩やと思ったけど綾部ガチギレやったからなぁ。そっかぁ、又吉は落ち込んでんねや。安達君今夜は優しく慰めてあげや。又吉のこと」
ちらりと綾部の顔を見たら顔面蒼白。
ちょっと可哀相になってきたから観念してあげよか。
「綾部。又吉な、安達君ちでめっちゃ落ち込んでるみたいやから迎え行ってあげ、早くしないと安達君に…綾部!」
言い終わらんと綾部は全力で行ってしまった。
あんだけ怒っててもやっぱり又吉には弱いねんな。あいつは。
「あ、安達君?今綾部が又吉迎えに行ったわ。全速力で。」
『ボン、お前綾部で遊んでたやろ。』
「あ、バレてた?」
『バレバレやであんな言い方。可愛い後輩あんまいじめたらあかんよ。でも今日は又吉のこと慰めてあげよ思ったのに』
「きっともうすぐ鬼みたいな顔した綾部が来るで。」
翌日、安達君から聞いた話によるとホンマに鬼みたいな顔をした綾部が安達君ちに来て、又吉は誰にも渡しませんから!と威嚇して又吉を連れ帰ったらしい。
「何で俺が綾部に噛み付かれなあかんねん。ボン、お前のせいやで。後でお仕置きやな。」
「俺のせいちゃうって!」
end
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