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「ふっ………くぁぁあ!やっと、着いたかぁ!」
何時間か分からないほど飛行機の中にいたオレは大きく背伸びをした。
「さて………ゆっくりもしていられないんだった」
背伸びをした後少し空港前の都会地味た様子に目移りしたが、今やらなければいけない事を思い出しすぐさま持ってきたスーツケースとは違う一回り小さい鞄に手を伸ばす。
「ん……と、どこだったかな………?サイドポケットに……あっ、あったあった」
伸ばした手にざらついた感触があった。
何かを掴んだ手の先には一枚の紙切れがあった。
「無くしちゃいけないよな……」
たかが紙切れ一枚だがオレにとっては神きれと呼んで良いほど重要なものだ。
なぜならこの紙切れにはこれから行く目的地の行く順番が書いてあるからだ。
「んーと、最初は…………葉彩町を目指せば良いんだな」
紙切れを見ると上部の方に『タクシーで葉彩町』となんとも男らしい字で書いてあった。
……まぁ、他ならぬ親父の字なんだけど。
「んでそれから……」
続きを見ようと視線を下へと持ってくと誰かと肩がぶつかった。
「……っと、あぁ!紙が!いや神が!!」
オレの手から離れてピラピラと左右に揺れながら舞う神きれ様はまるでオレを嫌うように人混みの中に入っていく。
「あぁぁぁ!!オレの命そのものぉぉお!!」
大袈裟な表現でも無かろう。だって紙の内容まったく覚えてないんだもん。
「誰かそこの紙を……とって………」
そこまで言うと紙切れに誰かの手が差し伸べられた。
あぁ……誰だ?私の神を救ってくれたお方は………。
壮大に感謝しつつそこに歩みを進める。
「あの………ありがとうございます。その紙切れ大事だったんですよ」
まだ完全に姿は見えないが先にそんな事を言いつつ顔の方に視線を向けた。
「いっいえ………ちょうど通りかかって、それであなたが困った顔をしていたので………」
そうオレの言葉に若干早口で答えてくれたのは、黒髪を後ろで結っている所謂ポニーテールの女の子だった。
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