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顔は……とても綺麗だった。お世辞ではなく本音で言えるほど。さらに少しばかり赤みのかかった顔が可愛さというものを増長しているようだ。
「たすかりましたよ。この紙切れがないと目的地にたどり着けないもので……」
歳は多分同じくらい。オレと同じく中学生みたいな面影が残っている。
「そ、そうなんですか………。よ、良かったです。お役に立てて。それでは私、急ぎますのでこれで」
あまり話すことに慣れていないのだろうか。少し言葉が途切れ途切れな気がする。
っとそう思っている内にポニーテールの彼女は紙切れをオレに差し出した。
「では、こ、これ」
「あっはい。本当にありがとうございました」
笑顔を浮かべお礼を言う。するとポニーテールの彼女は赤かった顔をまた少し赤らめ。
「あっはい!!こちらこそ!!」
………ん?こちらこそ?
まぁいいや。
ポニーテールの彼女も今の言葉に恥ずかしさを感じたのか俯きながらううっと唸っていた。
「それじゃあありがとうございました。本当に助かりました」
そう言いつつお礼をしたのだが、何故かポニーテールの彼女は顔を見せずコクコク頷くだけ。まぁとりあえず聞こえてはいるみたいなのでオレはその子から離れて空港前に何台かあるタクシーに歩を進めた。
「あの……いいですか?」
適当に一台選定し、運転手さんに話しかける。
「えぇ……大丈夫ですよ」
やんわりとした口調で答えてくれた運転手さんはどこかベテラン臭のするオジサンだった。
「それじゃ、葉彩町の………第一公園までお願いします」
どうやら目的地は第一公園と言うところに近いらしい。
「あいよ」
少しぶっきらぼうにそう答えた運転手さんの言葉を合図にオレは車に乗り込み、タクシーは進み始めた。
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