戻ってきた時代

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「多くの人間が死んだ・・・・勇敢なる戦士が、平和を愛した者達は果敢に敵に挑み、敵の前に散って行った・・・・・例え誰もが忘れても、共に戦い抜いた俺は決して忘れはせん・・・・!!!」 涙を強引に拭い去り、自らの心臓の位置に右拳を叩きつけ死んだ者達に対する最上位の敬礼をする。我々の心臓は人類の為に捧げん。この敬礼にはそんな意味が込められている。死んだ者達に捧げる敬礼の中でもこの敬礼は特に尊い。我らが人類の為に犠牲になった者たちの事は決して忘れてはならぬと、我らの隊より発祥した敬礼。 「・・・・」 もう一度ジワリと目尻から溢れた涙を拭い、懐かしい温かなベッドに体を横たえ、押し寄せてきた眠気に抗わずに意識を手放す。 「なんだか・・・眠いな・・・良い夢だった・・・両親に会えただけでも・・・・」 ポツリと言葉を零し、意識を闇の中へと落す。願わくば、この現実が嘘ではない事を祈ろう。 「おい、ソイル。ご飯だぞ?起きろー」 「む・・・・」 居間から聞こえる父親の声に起こされ、寝ぼけてシッカリと思考できない頭で布団を剥ぎ取り上体を起こす。よく寝たな・・・・。 そのままノロノロとベッドから体を下し、立ち上がると洗面所に向かって水道のレバーを下に下げ冷水を出しっ放しにして、流れ落ちる冷水を蛇口から両手で掬い顔面にぶつける様に乱暴に洗う。 「タオルがないな・・・何処だ?」 「はい、ここにありますよ」 「ああ、すまんな・・」 横からの若い女性の声にノールックで左腕を突出し、タオルを受け取るとそのままゴシゴシと顔面を拭う。あー、さっぱりした。 「待たせた。すまんな」 「あややや~、気にしてませんので大丈夫ですよ♪」 横を向きながら礼を言うが、いや、待てよ?『若い女の声』?妹は今の時期はたしか独り暮らし中でいないのにか?しかもどこかで聞いたような口癖。俺の知らない人物なのは間違いない。 横を向ききって視界に飛び込んだのは、ニコニコとこちらを見ながら笑うワイシャツにネクタイ、短い黒のスカート。スタイルはかなり良い黒髪にショートカットで頭の上にはチョコンと乗っかった特徴的な帽子。そして首から下げた少し古めのカメラ・・・・。 「・・・・射命丸文・・・?」 「はい♪そうですよ」
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