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――冷たい。
トラックのブレーキ音、運転手の慌てた声、流鬼が何かを運転手に言う…その一連の音声が途切れた頃、僕は寝たフリをやめて目を開けてみた。
「る…」
「何してたんですか京さん!」
僕がさしていた傘は道路の端っこに飛ばされ、今は流鬼の腕の中にいた。
「飛び出すなんて、危ないじゃないですか!」
流鬼が怒っとる。
…当たり前か。
「流鬼」
「死のうとしました?京さん、死にたかったんですか?」
事実、そうだったはずなのに、素直にそうやと言えずに固まっていると、
「…ばか」
小さな暴言が聞こえた。
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