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「去年はあんな事があって、雫も大変だったしね・・・」
実津紀はそんな唯の考えを見透かしたかの様に呟く。
「うん、そうだね。」
唯は実津紀の急な発言に一瞬驚きつつもそう答えて、
「でも、今度は大丈夫だよ。実津紀ならきっと。」
と力強く話し、三人へ視線を向ける。
「そうだな。じゃあ大会の時は皆で応援しに行かなきゃな!」
「そうしよう、そうしよう。」
要の提案に、香はいつもの調子で賛同する。
「じゃあ、そろそろ切り上げて解散しようか。唯も実津紀もこれから部活があるだろ。おれもちょっと寄る所あるしね。」
そう言って要は立ち上がった。
「もうそんな時間なんだね。じゃあ、私達も部活に行こうか。」
唯はお気に入りのBaby-Gの腕時計を見ながら実津紀に話しかける。ちなみにその腕時計は雫から誕生日プレゼントとして贈られたものだった。
「うん。」
実津紀は一言だけ言うと、空になったコップを集めようと動き始める。すると、
「あっ、おれが片付けておくよ。実津紀にはいつもやってもらってるからたまにはね。」
と要は実津紀に声をかけ、お盆を手に取る。実津紀は要の行動をジッと黙って眺め、
「そう。じゃあ、お願いするね。」
と笑顔で応え、
「唯、行こう。」
と自分の荷物をしょって、生徒会室を後にする。
「あっ、うん。じゃあ、二人ともまた明日ね。お疲れ様。」
そう言い残し、唯も実津紀に続いて部屋を出ていく。
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