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「とんだ災難だ……!」
下駄箱に着くなり自分のロッカーを開け、中から上履きを取り出して履いてた靴を放り込む。
この苛立ち、どう考えてもアイツのせいだ……!
「よう朝男、今日も元気か?」 「元気なのは当たり前だろう? なんせ女子高生のお尻の下に敷かれる男だぜ?」 「違いねえ、マジスゲエよな。真似できねえわ」
そんな囁きと、皮肉を込めすぎた挨拶が俺の肩を叩く。いやさ、苛立ちなんてもんじゃない。ここは一回、ビッと締めないと教室がカーニバルになっちまう。
「おいてめえらいい加減に――」
「ああん? 何ですか~? な~んな~んで~すかぁ~?」 「女子高生と裏山ハプニングかました後に八つ当たりとか、カァー! ペッ!」 「何かなぁ? あ~ず~ま~く~ん~?」
コイツら――目がヤバい。完全に据わってる。これは犯罪者の目だ。その瞬間に俺は思い出した。この学校の特徴を、
「ていうかぁ~、南ちゃんにべ~……ったりなお前がぁ~」 「他の女にうつつを抜かしてて良いわけぇ~?」 「僕ちゃんその辺りよくわかんなぁ~い!」
……落ち着け。落ち着くんだ俺。ここでキレたら学園全体の90%の人間(彼女居ない野獣334人)を敵に回す事になる……!
「お前の妹ラヴもそこまでか……」
はぁ、とため息を吐き、やれやれと手の平を上げる意味不明ポーズ。顔は完全に小馬鹿にしており、太い眉が真ん中からつり上がっていた。
「ふざけんなよゴリラ! 調子に乗ってないで故郷に帰れやぁぁあ!!」
こんな顔をする奴に手加減無しと判断。絶対にぶっ飛ばす。そして始まる大乱闘の予感、が――
「ハロー、皆サンお久ジブリデース」
ドン(仮)こと、マイケル(仮)がやってきた。もう全てが偽名のこの男は、(仮)じゃなくて(笑)で良い気がする。
「何を楽シソウに遊んでマスデスカ」
そして当然の如く乱入してくる筋肉の壁。俺の顔(だけ)を狙って殴り掛かってくる。必死に避ける俺。巻き込まれるゴリラ。笑いながら殴るドン(笑)。コイツの乱入により、被害が拡大していく一方だ。
と、ここでチャイムが鳴り響く。
「は? 遅刻になっちまう!」
「ハッハッハー! なりやがれ豚野郎!」
「お前もう外国人っていうカテゴリー忘れてやがるな!?」
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