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次の日は雨が降った。
優は雨の日が苦手だ。
親に捨てられた日に雨が降っていたらしい。
今日は仕事持ち帰らないでずっと側に居よう。
無事仕事を終わらせて帰る。
キッチンにいる優を手伝おうと思ったら断られた。
けっこう凹むな...
だからちょっといじわるしてしまいたくなった。
風呂上がり優に
「仕事しないでっていうならしないよ」
なんて、ないのに聞いてみた。
今日は雨だし…と少し期待したけど、優は泣きそうな顔をしながら大丈夫、と言って寝室へ行ってしまった。
「大丈夫じゃないくせに…」
優の後を追って寝室に行こうと立ち上がったとき、ふと優のおばあちゃんの言葉を思い出した。
『大丈夫じゃないくせにいつも笑って大丈夫。って言うんだ。
どうか優が弱音を吐ける場所に悠紀さんにはなって欲しいんだよ。私はだめだったから…』
そう電話で話した次の日おばあちゃんは亡くなった。
そういえばその日も雨が降っていた...?
――――だから余計雨の日がだめになったのか…。
少しだけでも優を一人にしてしまったことを心から悔やんだ。
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