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「あゆ…ごめん」
――――謝られると余計きつい。
「…でも、違うんだ」
....何が?
熱で浮かされた頭で色々考えてみるけど、全く分からない。
「あゆ」
遥は名前を呼びながら布団をめくった。
「あゆ、泣かせてごめん」
そう言って私の涙を優しく拭った。
遥の目が愛しいひとを見つめるみたいに優しい。
――――どうして…?
「今までも多分、いっぱい傷つけてたんだね。本当ごめん。
でも、別れるのは嫌だよ」
あゆが良くなったらちゃんと話すから。だからゆっくり休んで、そう言って私の頭を撫でた。
頭の中はハテナだらけだけど、遥とまだ付き合っていけるらしかった。
それだけで十分、って思ったけど....
「遥……帰る?」
泣いたせいでよく声が出ない。
それでも居て欲しくて声に出してしまった。
「大丈夫。ちゃんと居るよ」
優しく微笑みながら言うからまた涙が出てきた。
頭を撫でてくれる遥の手が心地よくて、私は眠りについた。
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