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「優こっち向いて」
寝たふりバレバレだったんだ...ちょっと気まずい。
でもそれよりも今はまだ涙の跡が消えてないからそっち向けないよ。
「ちょっと待って」
涙を拭いながらくぐもった声で言った。
「どうして?」
後ろから寂しげな声がしたからつい振り返ってしまった。
「俺がすぐ隣にいるのに一人で泣かないでよ」
そんな泣きそうな顔をしないで。
「俺には優の涙を拭うこともさせてくれないの?」
私の頬に伝う涙を親指で優しく拭う。
「ごめんね優」
なんであなたが謝るの。
「雨なのに一人にさせてごめん」
…なんで知ってるの?!
私が目を見開いていると、ふっと目を細めた。
「前、優のおばあちゃんに聞いた」
結婚の挨拶に行った時だよ、と頭を撫でながら話しはじめた。
雨が降ると私の様子がおかしくなるのはなんとなく気づいてたこと、私が席を外している間におばあちゃんと話したこと、おばあちゃんが亡くなった日に雨だったことをさっき思い出したこと。
ゆっくり優しい声で話してくれた。
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