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「でも俺も寂しかったんだよ」
私が落ち着いてゆったりした雰囲気になった時、悠紀は少し拗ねながら言った。
「早く帰ってきてね、とか言わないし一人で平気、とか言うから」
口が尖ってる....
「だからわざと帰るの遅くしたり、家で仕事するふりしたり」
・・・え?なにそれ――――
「さすがに今日は甘えてくれるかなって思ったのに我慢するし」
今までの我慢はなんだったのだろう...
「でも」
ぁ…真剣な顔になった。
「昨日早く帰った時、すごく嬉しそうな優を見て胸が痛かった。
俺のわがままでわざとやってたことなのにすごく寂しい思いさせてたんだなって思った」
ごめんね、とまた悠紀謝った。
「優は、自分のためにわがまま言えないってこと知ってる。だから俺のために優の思ってること言ってほしいんだ」
それなら言える?
悠紀はこどもに言い聞かせるみたいに私の顔をのぞく。
「うん…がんばってみる」
「よし。じゃあ練習。今思ってること、俺のために言ってみて」
ニコニコ待ってる悠紀。
ぅ――ん…思ってること...
「えっと、できるだけ早く帰ってきてほしいかな...」
「明日から早く帰るね」
あと...
「夜は二人でご飯食べたい」
「俺も」
それから...
「夜は一緒に寝て欲しい」
「もちろん」
「……それだけ?」
けっこう言った気するけどな....ぁ.
「ん?なに?」
そう尋ねる悠紀はなんだか嬉しそうだ。
「ぇと...ぎゅうって」
…恥ずかしすぎる―――
「喜んで」
あったかぃ―――悠紀に抱きしめられると安心する。
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