毒牙

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「はぁ? んだよ、その言い方。俺だって好き好んで男の保健医なんかに治療してもらってんじゃねーんだよ。保健の先生っつたらアレだろ? こう……ボン、キュ、ボンな感じで白衣から覗く胸元が……なのに何で……」 「あーはいはい。うるせーうるせー。誰がお前の理想の保健医像なんか聞きたいつったよ。てかお前それ、エロビの見過ぎだろ。だいたい、この学校に保健医は俺しかいないの。だから、俺に何やかんやされたくないなら、ガキみたいな事してこんな怪我したりすんなっつー話。ほら、終わり。さっさと教室帰る! 次!」 まるで、私ともう一人の男の子の事なんて存在してないかのように進んでいく、お世辞にも上品とは言えない、如何にも男同士って感じの二人の会話。 先生の低い声音は耳に心地好いけれど。 今の話し方を聞いていると、この人ホントに仕事やる気あるのかな? ……って、つい疑いたくなってしまう。 これはあくまで私の頭の中の想像だけど……。 いちいち全部の語尾にため息を混ぜてる辺り、如何にも面倒くさそうに作業してるって感じ。 そんな先生の言葉に、男の子の方がちょっとムキになって噛み付いてるのかな? ……て言うか。 そんなボン、キュッ、ボンな女の保健医なんて、それこそ漫画かエッチなビデオの世界にしか存在してないでしょって。 私も先生に同意見。 まぁ、そんな事言ってる先生だって、大概漫画の登場人物みたいな成りしてるんだけどね。
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