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て言うか、さっきから私をずっと見下ろしてるこの視線に……。
何だか酷く惑わされてる自分がいる。
あぁ、もう……いっか。
「……良いよ? シようよ」
……なんて言ってみたり。
その瞬間。
それまでキツく手首を掴んでいた先生の力が少しだけ緩んだ気がした。
別に投げやりって訳じゃ無いんだけど。
私が呟いた答えに先生の方が面食らったみたい。
「あれ……もしかして、もっと泣いて嫌がるかと思ってた? ごめんね。期待に添えなくて。あ……先生。自分からシようとか言っといて、実はビビってんだ?」
「アホか。んな訳無いだろ。ヤらしてくれるって言うなら、そりゃもう美味しく頂かせてもらいますよ?」
唯一、自由の利く首を少しだけ傾げて。
別に挑発したつもりじゃ無かったんだけど……そう取られちゃったのかな。
一瞬ムッとしたように先生の眉根にシワが寄る。
でもそれは本当にほんの一瞬の表情で。
また手首に少しだけ力が加わった次の瞬間には、その口角が緩く引き上げられていた。
「そう言えば……頭痛は?」
と、そのままゆっくりと私に近付いてくる先生の唇が、寸での所でピタリと止まった。
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