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「秘密の場所?」
思わず枕の上で首を傾げると、それを真似てか、少しおどけた表情で同じ方向に首を傾げてみせる先生。
「そ。まぁ別に大した場所じゃないけど。てかさ……今、この会話必要?」
そう言ってまた小さく笑う声がすると、その顔付きが再び真剣な物にすり替わる。
そして、それまで手首を掴んでいた先生の右手が、ゆっくりと私の左の頬に添えられた。
思わず目をギュッと閉じてしまったのは、つぅ……っと、唇をなぞる男っぽい親指の感触にドキリとしてしまったから。
さっきのキスですら、目も瞑らなかったし、ドキリともしなかったのに。
まぁ、正確に言えば。
目を瞑る暇もドキリとする暇も、両方共与えてもらえなかったんだけど。
「……可愛い反応」
ふっと笑うその声は、私をまたからかってるんだと思った。
でも、そう聞こえたすぐ後に、先生の唇は私に触れていた。
それは、さっきみたいにただ触れるだけの、子供のお遊びみたいなキスじゃない。
少し強引な大人のキス。
唇を割られると、より一層煙草の香りが強く感じられて。
こじ開けられたその隙間からは、先生の舌が滑り込んでくる。
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