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でも、私にとって初めてのそれは、やっぱり異物でしかなくて。
生暖かい舌先に触れられた瞬間、反射的に閉じていた目を開いてしまった。
すると、まるでそうなる事がわかってたみたいに。
楽し気に目を細めた先生と、視線が音を立ててぶつかった。
うわ……悪趣味。
そう思ってはみても、自由の利かない唇ではそれを音にする事もできない。
慌ててもう一度目を瞑って。
せめてもの意思表示にと。
唇の代わりなのか、いつの間にか自由を与えられていた両手で彼の胸を思い切り押し返す。
でもその唇は私から離れる所か、どんどん交わりの深さを増していくばかりで……。
どんなに逃げ回ったって所詮は狭い口の中だもん。
その範囲はたかが知れてる。
そして一度彼に捕まってしまった舌は、そう簡単には解放してもらえず。
私の意思とは全く関係無く、自分の物じゃないもう一つのそれに良い様に弄ばれる。
でも……何で?
不思議と嫌じゃない。
どっちかって聞かれれば……凄く気持ち良い……。
身体の奥が凄く熱くなっていく……。
それまでは、先生の胸を押し返す為に使っていた私の手だったけど。
その指はいつの間にか彼の黒いシャツをキツく握り締めていて。
気が付けば、私から先生の体を自分の方に引き寄せていた。
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