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まぁ、逆に“大好物”だって、はっきり言い切られちゃうと……。
それはそれでまた。
何だかんだ言ってやっぱり女の子食ってんじゃない……って。
別に、先生の特別になりたいとか、そんなんじゃないけれど。
私もどうせその中の一人なんでしょ……って。
凄くモヤモヤしてくる自分がいて。
でも、そんなモヤモヤした気持ちを抱えていても。
“弥恵”って。
先生に下の名前で呼ばれると、胸の奥がきゅうって音を立てて切なくなるのは何でなのかな。
……何だか凄く悔しい。
「てかさ……先生じゃなくて、悠斗。ね……呼んで?」
「悠……斗……」
と、そう促されて初めて口にした彼の名前。
けれど。
もっと……って。
催促の言葉と一緒に繋がったばかりの腰をゆらゆらと揺らされて。
先生の名前を呼んでいた筈の私の声は、気が付けば“言葉”から“吐息”に変わってしまっていた。
* * *
先生が動く度に溢れ出しそうになるこの吐息。
噛んだ唇の上に手の甲を乗せて、必死にやり過ごそうとするんだけど……。
徐々に速まっていくその律動に与えられる快感には抗えなくて。
口元を隠す手の下で、ただでさえキツく噛んだ唇に更に力が入る。
先生は、入り口の鍵は締めたって言ってたけど。
万が一にもこんな所を誰かに見られたり、声を聞かれたりしたらシャレにもならないから。
だから私はこんなに必死になってるって言うのに。
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