保健室の秘密

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「頭痛? 大丈夫?」 「うん。ちょっと寝てれば治ると思うから」 ほら。桜はこうやって心配してくれるけれど……。 「弥恵~? 噂通り、保健室で先生にヤられちゃわないように気を付けてね~」 真奈美はこんなだもん。 「あんたはう・る・さ・い」 「えーん。桜ぁ。弥恵が怒ったぁ~」 そんな真奈美を半眼でジトリと見やれば、わざとらしく言って桜に泣き付いていく始末。 桜も桜で、よしよし怖いでちゅね~とか何とか言っちゃってるし。 そんな二人の様子に、またため息が落ちる。 「まぁ……取り敢えず行ってくる……」 「行ってらっしゃ~い」 この二人……ホントに人の事心配してんのかな。 そんな疑問を抱いてしまう程にあっけらかんとした声音に背中を押され、私は教室を後にした。 * * * 校庭に咲いた桜の花に祝われるようにして、高校生活最後の一年が始まったのはついこの間の事。 ……かと思えば、その桜もあっという間に散っちゃって。 今では私の嫌いな六月の鈍よりとした梅雨空が、すっかり裸になってしまった桜の幹を上から見下ろしている。 もうすぐ雨……降ってくるのかな。 私には、雨が降りだす直前になると稀に頭が痛くなる厄介な体質……みたいなものがあって。 だから雨の多いこの季節はあまり好きじゃない。
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