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榊原 悠吾(さかきばら ゆうご)は高校教師である。
担当教科は現代文。年齢は23で、念願叶って今年の4月から有名私立高校にて教鞭を取ることとなった。
彼が勤務する高校、その名も榊原第二高等学園。
彼の祖父が立ち上げ、現在は彼の父親が経営する学園である。
そこで教師として働かせてもらっているということは、少なからず自分自身の力で教師を目指していた彼にとってコンプレックスとなっていたりもするのだが、夢であった職に就けた喜びは、例え親の七光りだなんだ言われようと、薄れるものではないのも事実だ。
その証拠に。今日も今日とて、お気に入りのダラりと伸びきった水色のカーディガンを羽織り、可愛い生徒たちに会うべく、悠吾は自転車をとばして学園を目指していた。
5月12日のことである。
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