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京の都から南に下ったその先に、鳥羽離宮【とばりきゅう】と呼ばれる場所がある。
帝や朝廷の権威が届かぬこの地は、上皇(帝が退位した後の位)が建てた、内裏にも引けをとらぬ建物が並び、その威光を存分に知らしめていた。
その中心が院御所【いんのごしょ】であり、上皇と、その近臣らが政を行う。
そこは実質的な朝廷である。
「なぁ、頼むよ~」
「何度言ったらわかる!
ここは遊びで来る場所ではない」
そんな威風漂う鳥羽離宮の北の端で、いかにも奇妙な二人組が、厳めしい風情の武士ともめていた。
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