其の一:院御所

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一見すると着物は武士に見えなくもないのだが、長身の割に筋肉が無さ過ぎる。 つまり武士には有り得ないほどひょろ長い。 腰に差しているのは武士の刀ではなく、貴族が身につけるような装飾刀だ。 しかも懐にしまえるような短刀。 脇差しですらない。 とどめはその青白い顔である。 長い前髪から片方だけ伺える目のどろんとしたこと。 その奇妙で不気味な様子に及び腰になりながらも、武士は何とか口を開いた。
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