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「そ、そこのお前、このふざけた娘の保護者だろう。
何と言われようがお前らみたいな怪しい輩をうちに入れる訳にはいかん。
我々は院をお護りする正規の武士団だ。わかったら小娘連れてとっとと帰れ!」
「……わかった」
先刻から一切喋らなかった青年が、意外なほどあっさりと返答した。
今までの徒労は何だったのかというくらい素直に、青年は少女の背に手をやり、離宮の出口へ去っていく。
その背中を見送りながら深いため息をつく武士に、遠くから振り向いた少女が怒鳴った。
「あたしらのどこが怪しいんだよ馬鹿野郎!!」
全部だ馬鹿野郎、と返す気力も起きなかった。
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