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「千段だったです」
「うげっ!? マジかぁ……今日トレーニング出来ねぇなぁとか思ってたけど、そうでもなかったな」
「毎日20往復みたいです」
「毎日!? 良いなぁ、オレこっちに進学すりゃ良かったな……」
「ですか……」
ふと、ものすごく悲しい目つきになった雅に、猛烈に庇護欲を掻き立てられた鈴斗は、あわてながら大仰に手を振った。
「いっ!? いやいやいや!! 冗談!! 冗談に決まってんだろ!? なっ!?」
「――……ですか?」
「おぅおぅ! 当然だともっ!」
「喧しいぞ」
ふと男女が顔を上げると、寺の境内にはいつの間にか、道着姿の数十人の男が横一列に並んでいた。
中央に立つ男は中でも屈強で、唯一を装備している。
彼もまた、茜や大地と同じく、東京での会議に顔を見せていたメンバーの1人。
《都市級》高校第4位。
比叡山高校、戦争部、総代。
千石恭二郎。
圧倒的な敵意を隠しもせずに放って来る恭二郎だが、対する男女が怯むことはない。
「喧しいだとよ。普段はそっちのがうるせぇクセに」
「です」
彼女たちもまた、日本の戦争部を代表する一翼だからだ。
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