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落ち着いた調子でそうは言うものの、雅本人もまた、背後に巨大な影を背負っていた。
8つの頭を持つ巨大な蛇を象ったそれは、雅を守るように周囲に目を光らせていた。
「スサノオノミコトが討ち果たした邪竜、ヤマタノオロチです。ただの筋肉馬鹿では敵わない、です」
彼女の挑発にも、恭二郎は全く乗って来ない。
落ち着いた表情で眉一つ動かさず、言葉を作るのみだ。
「脅しにもならん。さっさと本題に入れ。わざわざ《都市級》高校同士で話し合いなど、一体何を目論んでいる」
「そちらには来ませんでしたか。《神ノ聖国》からのアプローチ」
ぴくんっ、と、その時初めて恭二郎の表情が一瞬揺らぐ。
雅はそれを見逃さず、言葉を畳み掛けた。
「あったですね。私たちにもあったですよ。
《神ノ聖国》からの、協同戦線提案が。
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